「勘定あって銭足らず」

加藤治彦

 町のレストランを経営している社長の話。今年は多くのお客様に来てもらっており、1千万円程度の利益が出そう。ここで考えるのは、税金のこと。事業にかかる税金は、多少見直しがされたものの、まだまだ大きい。そこで考えるのが節税のこと。折角なので、何かを購入しよう。
 1千万円の買い物をしよう。そうすれば、利益を出さなくて済む。節税だ。よし、ベンツを買おう。
 ベンツで食材を運ぶなど仕事にしっかり使えば、会社用の資産として認められると会計士さん。購入費用のすべてを利益から引くことはできないが、節税にはなると言われ、決断して購入。
 増収増益での決算。年度が変わったところで、問題が起きた。昨年と同じように、商売を続けていたところで、税金を払うこととなった。昨年はしっかり利益が出たので、余裕で金庫を開けたところ、お金がない。
 決算書における利益とキャッシュフローは違うのだ。実際のお金は、ベンツ購入に消えてしまい、金庫にはお金が残っていない。勘定あって銭足らずは、決して町のレストランだけの話ではない。