「受信能力と発信能力」

加藤治彦

 ネットの時代になって、発信能力が向上したと言われる。ブログに代表されるように、自分の意見を発信する場が飛躍的に増えた。誰でもいつでも、自分の意見を多くの人に発表できる。そしてそれに対する反応を知ることもできる。
 本当に発信能力が上がったのだろうか。ブログで発信されている内容の多くに非常に疑問がある。確かに表現力は向上している。画像などを利用してうまく編集している。しかし、あくまでも自分の意見であり、自分の主張に過ぎないのではないだろうか。いわゆる「自己中」となっていないだろうか。
 今こそ重要なことは発信能力ではなく、受信能力ではないだろうか。とにかく情報であふれている。知らないこともネットを使えばそれなりの知識を得ることができる。しかし、それ以上でもそれ以下でもない。その情報から、真の意味を理解することが、最も要求されている。多くの情報を活用して、自分なりの意見にまとめていく。そしてこれを主張する。反論があれば、これを理解し、場合によっては自分の意見を成長させていく。しっかりした受信能力の下での発信能力が求められているのだ。